軽井沢にて
9月17・18日の二日間、軽井沢町で開催された尾崎行雄記念財団咢堂塾主催の合宿に参加してきました。20数名の塾生とゲストとともに多様な観点で政治や社会の課題や展望について議論をすることができたと思います。本合宿のプログラムは特に「地方自治」に焦点化されていたことからも、地方自治に対する時代の要請と期待を強く感じました。
合宿プログラムは3つ「柳田清二佐久市長:地方自治の未来」「地方議員シンポジウム:地方自治の課題と展望」「高野伸一氏(小布施町役場):まちづくりー小布施町の取組みについてー」に分かれており、首長・議員・行政官がそれぞれの立場で地方自治の取組みを紹介するというものでした。僕も「地方議員シンポジウム」のスピーカーのひとりとして登壇し幾つかの論点について発言しました。以下、僕の応答の一部をご紹介させて頂きます。
■ 与謝野町の課題について
与謝野町が抱える課題のひとつに「役場庁舎の位置問題」を通じて生じた「町の一体感の低下の危機」を挙げることができると思います。当町は、平成18年3月に3町(旧岩滝町、旧野田川町、旧加悦町)が合併し誕生しました。当時、私が暮らす京都府北部においても様々なカタチでの合併が模索されましたが、旧3町による合併協議会の合意(役場庁舎の位置に関しては、3つの庁舎を使用するという分庁舎方式を採用)を経て「与謝野町」として新しいスタートをしました。平成の大合併の記録を振り返ると「役場庁舎の位置」を巡って合併に至ることができなかったケースもあることから、住民にとって役場庁舎の位置が持つ重要性は非常に高かったことが推察できます。
そして合併から5年が経過した今年5月に、町長から現在の分庁舎方式から総合庁舎方式に変更したいという提案が町民に向けてなされました。詳細な提案内容については割愛させて頂きますが、その提案を受けた結果、本庁舎がある旧岩滝町地域を中心に町長提案に対する反対運動が展開されました。そして、現在開会中の9月定例議会へ2本の請願書が提出されるに至りました。しかもそのうちの1本は旧岩滝町地域の有権者の半数にあたる約2500名の署名を添えてです。
以上、簡単に「役場庁舎の位置」に関連する経緯と現状、そして「町の一体感の低下の危機」を紹介させてもらいました。ご存じの通り、平成の大合併によって基礎自治体は約3000から約1700へと減少しましたが、この合併によって表出してくる課題は今後も発生していくだろうということを付け加えておきたいと思います。
■ 市民による直接請求や住民投票をどう考えているか
全面的に賛成です。なぜなら、直接請求や住民投票制度は、国民一人ひとりが持つことのできる権利であり武器だと思うからです。しかしながら、私たちは常に「正しい選択」ができる存在ではありません。従いまして、これらを制度化する際には「正しい選択」をできるだけ可能にするための配慮が必要だと考えますし、そのためには多様な会議を興すことが必須条件になると思います。
■ 政治家にしか果たせない役割というのはあるのか
私たちにとって「未来」は常に前人未到な領域として存在しています。そんな「未来」を切り開いていくことができるのは「政治家」にしか果たせない役割だと思います。なお、私は「政治家」を、掲げる理想と現実の狭間で闘う人だと定義しています。