平成23年3月定例会一般質問事前通告書/町長答弁
平成23年度3月定例会の一般質問を終えました。
3月1日に議長宛に提出した事前通告書の全文、対する町長答弁を掲載しておきたいと思います。
『一人ひとりを包摂する社会の実現に向けて』
去る1月18日(火)、首相官邸で『一人ひとりを包摂する社会』特命チームの初会合が行われた。この特命チームは新たな社会的リスクの強化を含めた社会的包摂を推進するための戦略策定を目的として設置されたもので、第一回となる会合では『一人ひとりを包摂する社会』の構築に向けた課題について議論があった。
この聞き慣れない「社会的包摂」とは何なのだろうか。大雑把に言うと、家族や地域社会、企業における従業員の家族意識といったお互いが支え合う機能が失われた結果、社会から孤立してしまった人々をもう一度社会の中に包摂しようという政策理念のことである。ヨーロッパ諸国で若い失業者、低所得者、外国人、ホームレス、薬物中毒者等を社会から排除しようという動きが顕著となり、そのために社会不安が増大してきた。それに対して、こうした事態が続けば国家の崩壊にまで行き着くという危機感から包摂理念が生まれたという。確かに、数十年前に欧州諸国で顕在化していた諸問題は現在の日本が抱えるそれ(12年連続自殺者3万人超など)と合致すると考えられるし、その原因は「人や社会とのつながりの断絶」が根底にあるように思われる。
与謝野町の地域社会が上記した状況にぴったりと当てはまるとは思わないが、「孤立化」というリスクを抱えながら、生きる人は少なからずいることは確かである。
本項では、そんな「孤立化」を防ぎ、一人ひとりを包摂する社会の実現に向けて講ずるべき施策について議論したい。議論するにあたり、指針となるような事項の質問を以下行う。
—当町における世帯構成の推移と見通し。
—当町における一人暮らしの高齢者の動向。
—当町における婚姻、離婚の状況。
—当町における性別・年齢別に見た非正規労働者の推移。
—当町におけるフリーター、ニート状態の若者。
—当町における被保護世帯数及び世帯保護率の推移。
—当町における気分障害患者数の推移。
—当町における自殺者数の推移。
—『一人ひとりを包摂する社会』に対する町長の見解。
『9月定例会での一般質問「地域活性化を問う」のふりかえり』
平成22年度9月定例会での一般質問「地域活性化策を問う」のふりかえりをしておきたい。ふるさとを離れたものの、いまも変わらず感情的なつながりを保ち続けている人たちへの情報を的確に届けることによって新たなる地域活性化の領野が拓けてくるとの主張をし、それに対し町長から「丹後人会に出席をして、いろんな方からの情報収集に務めている、ホームページを活用し町外へも様々な情報発信をしていきたい」とのご答弁を頂いた。その後の係る取り組みの報告を伺いたい。
一般質問答弁書
山添議員のご質問一番目、『「一人ひとりを包摂する社会」の実現に向けて』についてお答えします。
最初に与謝野町の状況について報告させていただきます。
第1に、当町における世帯構成の推移と見通しについて、でございますが当町の人口は、合併時と平成22年3月末と比べた場合1189人減少しています。にもかかわらず、世帯数は8875世帯から9056世帯と181世帯増えています。これは、当町に限ったことではなく全国で進む核家族化の現れであると考えており、この傾向は今後も続くと思われます。
第2に、当町における一人暮らしの高齢者の動向ですが、町民生児童委員協議会が把握している一人暮らし高齢者世帯数は、平成19年度681世帯、平成20年度696世帯、平成21年度695世帯、平成22年度749世帯と年々増加しています。全世帯に占めるその割合は平成22年度で8.2%という状況です。
第3に、当町における婚姻、離婚の状況でございますが、平成17年度から平成21年度までの数を比較しましたが、その年度により大きな差があることから5年間の平均値で報告させていただきます。婚姻87.4件に対し、離婚37.8件と婚姻に対する比率は42.1%という状況です。
第4.5の当町における非正規労働者、フリーター、ニート状態の若者の数は資料がございません。実態把握が非常に困難であるということです。ただし、平成22年実施の国勢調査の結果が公表されていませんので少し古くなりますが、平成17年の国勢調査では、当町の完全失業者数は542人となっています。
第6に、当町における生活保護世帯数及び保護世帯率でございますが、平成20年度から22年度の直近3年間の状況では、保護世帯数89.9世帯が99.9世帯に、保護世帯員数も128.8人が141.6人、保護世帯比率も1%が1.1%に増加しています。
第7に、うつ病等の気分障害患者数につきましては資料がございません。国においても実態把握が困難であると思います。なお、参考になるかどうか分かりませんが、当町の精神障害者保護福祉手帳交付者は105名という状況です。
第8に、自殺者数の推移につきましては、平成17年5人、18年3人、19年4人、20年8人、21年9人と5年間で39人という状況です。
これらの状況は、本町においても核家族化が進行するとともに、高齢者の一人暮らしが年々増加するという議員のご指摘の孤立化が進行していると考えます。さらに長引く地域経済の低迷は、生活保護世帯の増加や自殺者の数に表れ、大変きびしい町の状況を映しだしていると思っています。
こうした状況を受けて、町では以前から実施しています「弁護士による無料法律相談」「心配事相談」に加え、多重債務緊急相談を平成20年度から実施しています。さらに、民生児童委員さんによる高齢者世帯の安否確認活動の実施、最近では一人暮らし高齢者等の災害時避難行動支援者登録を職員が手分けをして調査し整備する等、安心を支え合う町づくりを進めています。
これらの取り組みは、孤立化が進行する暮らし、環境に歯止めをかけるとともに、改善を図っていく施策であると考えています。社会福祉協議会やNPO、ボランティア団体の活発な事業展開もあることから、町の現状は深刻な社会的な包摂が必要な状況まで至っていないと認識しています。もちろん今の施策だけで十分だとは考えていませんが、ボランティアや町民の皆さんと力を合わせて、支え合う町づくり、地域づくりを今後も追及していく必要があると考えています。そのために、議員におかれましても、今後積極的な提案とご協力をいただきますようお願い申し上げます。
次に二番目の質問、9月定例会での一般質問『地域活性化を問う』の振り返りについて、お答えします。
議員ご質問の「地域活性化策」に関しましては、9月定例会で、「様々な活性化策を地域や各種団体と一緒になって取り組んできており、今後も更に創意工夫しながら地域活性化につなげていきたい。与謝野町出身者へは、情報化の時代でもあることから、ホームページ等を活用し町外へも様々な地域情報を発信していきたい。また希望者への広報よさのの配布も継続して実施しております。」というような答弁をさせていただきました。
その後の取り組みについてでございますが、実際に「東京丹後人会総会」が10月末に開催されることについての、広報への掲載依頼がございましたので、広報よさの10月号に(首都圏在住の親戚や知人の方にお知らせください)と掲載させていただいております。
また、実際にその丹後人会総会に副町長が出席させていただき、与謝野町の近況をご報告申し上げるとともに、様々な分野でご活躍いただいております方々から貴重なご意見等をいただいたことや、広報よさのを見た家族からの連絡により新しく会員になった若者も参加していたこと等も報告をうけています。
ホームページ等の充実につきましても、有線テレビの拡張事業に合わせリニューアルいたしておりますし、さらに有効な活用が図れるよう、部内で情報化推進委員会を立ち上げ協議いたしているところでございます。
情報収集やホームページはもちろんのこと、与謝野町自慢などあらゆる場面での情報発信に努め、町内外を問わず多くの方に行政参画いただきたいと考えているところでございます。