総務常任委員会視察
11月24日〜25日まで、総務常任委員会の行政視察で愛知県大口町と高浜市を訪れました。本稿では特に印象深かった大口町が展開している取り組みをご紹介したいと思います。
愛知県大口町は人口約2万2千人の小さな町です。町の行財政運営は、主に企業誘致政策によって来町した企業や自動車及び製造業関連企業から支払われる高い法人税収入によって成り立っており、財政構造の弾力性を示す経常収支比率や財政力指数は他全国市町村団体とは比較にならないくらい高い水準値を示し続けてきました。そんな豊かな町にも解決するべき問題は当然あり、そのひとつが企業誘致によって生じていた住民間(旧住民と新住民)コミュニケーションの希薄さです。
前町長は主にその問題の解決を目指し、平成12年頃からNPO促進策や自治基本条例の制定、地域内分権の推進等の取り組みをなされてこられました。さらに進んだ構想を前町長はお持ちだったようで、NPO団体の活動拠点かつソーシャルアントレプレナー(社会起業家)の育成拠点とする株式会社の設立を構想されていたようです。つまり、新しい公共の担い手を地域に根付かせていくためのアウトソーシング先としてNPOや地域自治組織、社会企業家を育成していく仕組み作りを積極的にされてきたということです。そんな取り組みの成果もあり現在では、43団体そして約2千人がNPO団体ベースでまちづくりに参画され、子ども達や高齢者、障がい者を対象とした事業を中心に多数の事業を展開されています。
もうひとつの視察先である高浜市も、1995年に高浜市総合サービス会社を設立されて以来、其社に行政サービス業務の少なくない部分を委託されています。以上、私が今回の視察で感じたことは昔からの「役場」固有の機能が新しい公共の担い手である住民へ、また法人へと「任される」時代に入っているのではないかということです。