ご近所さん祭り

東京の大手建設会社に勤める友人が「東京近郊に建設されるマンションはその構造上、隣人間コミュニケーションが形成されにくくなっているがゆえに発見・解決できない社会問題があるように思う」と話をしてくれたことがあります。そんな友人の話を受けて思い出したことがあったので、皆様にもお伝えしておきたいと思います。

1999年6月1日、パリ17区にて都市部の隣人間コミュニケーションの低下を解消するために『La fête des voisins』日本語訳で『ご近所さん祭り』が開催されました。初年度にして、パリ17区の800棟、約1万人の人々の参加を得て大成功することになります。その後、大幅に参加市区を増やし、2009年度にはフランス国内のみならず国外にもひろがりをみせ約850万人が参加する年に一度の『祭』になっています。

ぼくもパリに住んでいた数年の間は住んでいた建物中庭で開催されていた『ご近所さん祭り』に食事やお酒を持参して参加していました。振り返れば、沢山のご近所さん(パリのアパートには本当に様々な国籍の住人がいます)と知り合い、今でもメールで「どこどこのパン屋さんがなくなった」「娘が小学校に進学する」「村上春樹の新しい著作はどうだ?」などのやり取りをしている元ご近所さんがいます。

そんなフランスでの体験を思い出しながら、友人の話を聞いているとフランス(現在は世界各国)で年に一度開催される『ご近所さん祭り』は友人の危惧を解消することができる可能性を含んだ先行事例の一つだと思えました。