一般質問:地域経済の活性化に向けて

6月11日(火)、「地域経済の活性化に向けて」と題して一般質問を行いました。与謝野町の地域経済を発展させていくには、域外からの財の獲得(外貨獲得)が重要であるとの観点から、当町の外貨獲得の現状、外貨を獲得していくための施策として「民泊」と「(仮称)与謝野町支援隊の設置」を提案致しました。
これらは以前より繰り返してきた提案です。全体的に前向きな答弁で、少しずつではありますが前に進んでいる印象を受けました。提案に対する町長からの答弁は以下の通りです。

◉民泊を軸とした体験型滞在事業の立案
今年度実施するギャップ調査の結果ともリンクしながら、民間主導の観光振興の取り組みが広がる機運づくり、環境づくりに努めたい。
◉与謝野町支援隊の設置
今すぐに「支援隊」を組織化する計画はないが、町外で暮らす出身者や縁のある方々を交えた懇談の場を設け、意見交換をしたい。

<一般質問通告書>

平成24年4月に施行された「与謝野町中小企業振興基本条例」では、経済活力が地域内循環する産業振興を図るだけでなく、域外からの財の獲得の重要性についても明記されている。
私はこれまでにも「外貨獲得事業」の必要性を主張し、町内企業が域外で行う販路開拓事業の支援や外貨獲得を目的の一つとする交流人口拡大事業の施策立案を求めてきた。
与謝野町の地域経済を活性化させていくには、多種多様な「外貨獲得事業」の立案及び実行が必要不可欠であるという立場から次の点を質問する。

・分野別外貨獲得事業の現状及び展望
・分野別外貨獲得額の現状及び見解
・民泊を軸とした体験型滞在事業の立案
・仮称:与謝野町支援隊の設置(町外在住の与謝野町出身者や縁のある方々に町のPRをおこなった頂くなど)

<答弁書>

山添議員ご質問の「地域経済の活性化に向けて」の1点目「分野別外貨獲得事業の現状及び展望」についてお答えします。本町におきましては、域外からの外貨を獲得する主要分野は、歴史的な経過や統計的観点からみましても、やはり地場産業の「織物業」であると考えております。近年では、京の豆っ子米を核とした「農業」、さらには、交流人口の増加による産業振興策として「観光」が、外貨を獲得できる産業と言えますので、この3分野に絞ってお答えをさせて頂きます。

まず、織物業につきましては、議員ご承知のとおり、現在は、生産反数では、昭和48年のピーク時の約5%、出荷額でも約4%の状況となっております。また、昨今の為替が円安に向かう中で、生糸価格の値上げに拍車がかかり、生産に影響を及ぼしております。
しかしながら、こうした厳しい状況であるものの、若手機業家のグループでは、京都府などの支援を受けながら、ストールやネクタイなどの新商品を開発され、百貨店催事への出展を通して、販路かの拡大に努めておられます。また、商工会機業部におきましては、国内最大規模の雑貨見本市である「インターナショナル・ギフトショー」への出展、丹後ファッションウィーク開催実行委員会においては、流行の発信拠点・東京での単独展など、販路拡大・開拓に向けての動きを積極的に行っておられ、こういった取り組みに対しては、従来から町単独で、また、京都府や近隣市町と連携しながら支援を行っており、今後も引き続き支援を行ってまいりたいと考えております。

次に、農業分野におきましては、「自然循環農業」を推進しており、その代表格である「京の豆っこ米」の作付面積は、平成15年当初の62ヘクタールから平成23年には120ヘクタールまで拡大しました。
また、平成19年から関西を中心に大手スーパーで販売を開始したほか、慣行栽培の与謝野町産コシヒカリが平成24年5月から、京の豆っこ米も平成25年4月から首都圏の販売を開始するなど販路も開拓してきましたが、町内外での知名度の向上など、さらなるブランド化の取り組みが必要になっております。
そこで、「京の豆っこ米」、「京野菜」などの特色ある農産物の生産者が流通業者などと連携して行う品質向上の取り組みや販売促進活動を支援し、高品質な農産物を供給することで首都圏や関西への安定的な流通につなげるとともに、店頭販促やキャンペーンなど効果的な販売促進及びPRを行っていきたいと考えております。そうした取り組みに加え、1次、2次、3次産業が連携・融合し、産地直売所の運営や加工品の開発、観光施設への食材供給など、「地産地消」と「6次産業化」を促進し、農家の所得向上を図ってまいりたいと考えております。

観光分野におきましては、先にも答弁させていただきましたとおり、京都府において、京都縦貫道が全線開通される平成26年度までの2年間に広域観光のまちづくりを進めていく前提として、町の自主事業として「ギャップ調査」を実施致します。この調査は、本町の観光振興における強みと弱みの分析、その結果を受けての観光まちづくりの戦略策定を行うもので、さらに、調査・計画だけにとどまらず、戦略を推進する地域住民・事業者を主体とした、観光まちづくりが実践できる組織体制づくりを行ってまいりたいと考えております。

次に2点目の「分野別外貨獲得額の現状及び見解」についてお答えいたします。
織物業においては、「丹後」という枠組みとなりますが、平成24年度の総出荷額が約90億円でございます。平成20年度の工業統計調査による与謝野町の製品出荷額が約360億円でございますので、年度、地域をまたぐかたちとなりますが、占める割合からしても、織物業は本町の主要産業の一つとして位置づけ、今後も織物振興に努めてまいります。
農業においては、現在、京の豆っこ米が約580トン生産されている内の50%を超える約310トンが、特定流通というかたちで大手スーパー等に流通しておりますので、出荷額ベースでは約8700万円が外貨獲得額と言えると思います。
観光においては、平成23年のデータでは、入り込み客約66万人に対して観光消費額が約5億2千万円となっております。一人当たりの観光消費額に目を移すと、788円となり、この数値は近隣市町の中で最も低い結果となっております。
近隣市町と比べると、本町は宿泊施設が少なく、どうしても観光消費額が低くなってしまう傾向にありますが、天橋立には年間200万人を超える観光客が訪れていますので、そこから足を延ばしていただく取り組みを進めていかなければならないと考えております。

3点目の「民泊を軸とした体験型滞在事業の立案」についてお答えいたします。
現在のところ、民泊については、行政としては把握しておらず、現在のところそういった計画がないのが実情ではありますが、先ほど申し上げました天橋立まで来られた観光客をターゲットに、与謝野町に誘客を図ろうとする取り組みについては、民間主導で進められつつあります。それは、ちりめん街道を核として、町染色センターを活用した染色体験、おみやげコンテストでグランプリを受賞された広瀬創作工芸でのランプ作り体験、ちりめん街道での食事、ちりめん小物の販売など、官民一体となった体験型滞在事業が、民間グループを主体として企画されております。この取り組みは、まさに「海の京都」構想とも合致してくるものであり、町といたしましても支援してまいりたいと考えておりますし、今年度実施いたします「ギャップ調査」の結果ともリンクしながら、他にもこういった民間主導の観光振興の取り組みの輪がひろがる機運づくり、環境づくりに努めてまいりたいと考えております。

4点目の「与謝野町支援隊の設置」についてお答え致します。
現在、町外在住の方で与謝野町をPRしていただく組織はございませんが、丹後まで枠を広げた組織としては、東京丹後人会があり、総会には副町長などが出席をさせていただいております。
議員もご承知のとおり、町出身で都市部に在住の方は、我々が思っている以上に、ふるさとを想う気持ち、またふるさとのために役に立ちたいと思う気持ちがあると聞いております。今すぐに「支援隊」を組織化するという計画はありませんが、そういった方々を交えた懇談の場を設け、地域の活性化にむすびつくアイデアについて意見交換できればと考えております。