3月定例会における一般質問の質疑応答(一部)

質問

事前通告に基づき、平成25年3月定例会における一般質問をおこないます。若者世代のI・Uターン促進政策、国公立大学の新設及び誘致活動の2件を取りあげます。

1件目は、「若者世代のI・Uターン促進政策を問う」についてです。

私は、これまでにも、少子高齢化や若者世代を中心とする人口流出が進む当町が地域力の維持や強化をしていくためには、地域外からの人材を積極的に誘致していく政策の立案とその運営が必要であるという観点から、総務省の制度である「地域おこし協力隊制度」の活用などを提言してきました。本日は、若者世代の人材誘致政策を促進していくための取組みを、より総合的に、「I・Uターン促進政策パッケージ」として推進していくべきだという観点から、質疑と提案をおこないたいと思います。

第1点目は、当町における若者世代のI・Uターン促進政策に対する見解及び取り組みについてです。まちづくりにおいて重要な役割を果たす存在として、「若者・馬鹿者・ヨソ者」の三者を挙げる人は少なくありません。若者はエネルギーを、馬鹿者は目標の実現に向かって情熱的に突き進む突破力を、ヨソ者は新たな視点により地域資源を取らえなおすアイデアを地域にもたらす存在と言われてきました。事実、この三者の活躍によりまちづくりに成功してきた事例を数多く挙げることができます。私は、当町においてもこの3つの性質を備えた人材の誘致を「Iターン・Uターン促進政策」において実現していくことができれば、より力強いまちづくりを進めることができると考えています。町として、どのような姿勢で本件に取り組まれているのか、見解をお伺いします。

第2点目は、町内企業の求人情報の把握と求職者への情報提供の状況についてです。

第3点目は、起業支援政策の立案についてです。再三再四、その活用を提言してきました「地域おこし協力隊制度」に係る「平成23年度地域おこし協力隊の任期終了に係るアンケート調査」に寄れば、昨年度任期を終えた隊員100名のうち5人の方が「地域に定住して起業」されています。繰り返しますが、この制度の趣旨のひとつには、地方における効果的な外部人材の活用があります。ヨソ者の外からの目線を地域に取り込み、まちの活性化剤にするという観点です。こうした方向性においてもっとも地域を活性化するのが「その地域での起業」だと思います。私は、「IターンUターン促進政策」の延長線上に起業支援政策を位置づけ、その支援を続けていく必要があると考えています。見解をお伺いします。

第4点目は、空き家バンクの創設についてです。昨年度、「与謝野町空き家実態調査」の結果が報告され、449戸の空き家や空き工場の存在が明らかになりました。この報告を受けて、その現状の深刻さを感じるとともに、空き家管理条例、中古住宅の入居促進施策の推進、そして、空き家バンクの創設など、早急かつ幅広く対策を講じていく必要があると改めて感じました。来年度予算案においても、商工観光課が所管する事業のなかには、「空き工場・空き店舗調査による仕事場の確保」などの項目が挙げられており、積極的な利活用への姿勢が見受けられます。私は、当町への移住や帰郷を望まれる若者世代が、地域の資源でもある空き家や空き工場を利活用することができるよう、空き家バンクの創設を実現していくべきだと考えています。見解をお伺いします。

第5点目は、丹後Uターンセンターとの連携状況についてです。京都Uターンセンターは、丹後広域振興局内に設置されており、I・Uターン希望者や北部への就職を希望される方の支援を行っていると聞いております。連携状況はどのようになっているのか、現状についてお伺いします。

それでは、2件目の質問「国公立大学の新設及び誘致活動を問う」にうつります。

私は、次に掲げる3つの主な理由により、京都府北部に国公立大学をつくりたいと考えています。

1つ目は、この地域で育つ子どもたちに高校卒業後の進路の選択肢を増やしてあげたいという理由です。私は、この議席を預かった直後から今までにわたる3年間、京都市、大阪市、東京都、仙台市などの都市部で機会あるごとに、与謝野町をはじめ丹後地域を出身地にもつ大学生や出身者の皆さんと対話を重ねてきました。ふるさとを離れてそれぞれの場所で大学生或は社会人として生活する彼ら彼女たちに高校卒業後の進路選択について、「もし実家から通うことができる大学があれば、地元に残っていましたか」という質問をすると、多くの方が「はい」と答えてくれます。こうした嬉しい言葉を返してくれる子どもたちのために、「地元の大学に通える」という選択肢を提供してあげたいと思っています。

2つ目は、地域経済の強化を促進したいという理由です。現在の日本では、すべての都道府県に国立大学法人が設置されています。これは教育の均等化政策として行われてきました。しかし、ひとたび、大学が設置されると様々な外部効果が生まれます。大学は遠方から学生を集めるし、それに伴い、これらの若者が住居を借りることで、地域には不動産需要が生まれていきます。学生は、アルバイトとして地域に安価な労働力を提供し、旺盛な消費の主体でもあります。地域外からやってきた学生が実家から受け取る仕送りが、地域社会にとっては重要な所謂「外貨」となります。つまり、大学は、地域にとっても有用な地域経済の強化施策となりえるということです。

そして、3つ目は、私たちは新しい大学教育の模索をはじめるべきだという理由です。世界の社会構造の変化とIT革命を通じて、世界は国家の枠組みを大きく越え、地球規模で異文化間の直接的なつながりが可能となるグローバルな社会を迎えています。こうした大きな転換期を迎えた世界で、日本の大学は、学生たちに未来を生き抜くための力を身につけるため、時代の変化に対応した教育を提供しているのでしょうか。私は必ずしもそうだとは言えない印象を持っています。今一度、未来を生きる次なる世代のために、彼ら彼女たちが生きることになる未来を想定し、時代の変化に応じた大学教育のあり方について、私たちなりの議論をはじめてみましょう。

以上にかかり、次の2点についてお伺い致します。
・ 京都府北部における国公立大学新設・誘致活動に対する当町の見解及び取り組み
・ 当地域に国公立大学が立地するとしたら、どのような大学を求めるか

答弁

山添議員ご質問の一番目「若者世代のU・Iターン促進政策を問う」についてお答えします。

当町の平成18年3月末の人口は25,720人でありましたが、平成25年1月末では23,938人と僅か7年弱で1,782人減少しており、人口減少に歯止めがかからない状況となっております。

一概には言えませんが、労働力人口の減少や産業活動の担い手が不足していき、地場産業だけでなく町内産業の弱体化につながるものと懸念されます。一方、I・Uターンを望まれる方の主な理由といたしましては、「自分が育った地域だから」、「自然が豊かな所でのんびり生活したい」、「その地域に親族・友人・知人が多い」、「仕事以外の生活も充実したい」など、その思いは多種多様なものであります。

また、I・Uターン促進政策を行う上で効果的な取組みといたしましては、「子育て世代への支援による定住策」や「産業活性化・企業誘致などによる働く場所の拡大」、「団塊の世代へのU・J・Iターンの促進」などが重要な施策であると認識致しております。現在、第1次総合計画の後期計画がまとめられ、また産業振興会議におきまして、産業振興ビジョンの行動プログラムの絞り込みや、与謝野町中小企業振興基本条例の基本理念である地域循環型経済の構築に関わる方策などにつきましてご議論いただいております。単に商工業だけでなく、観光・農業・福祉・医療・教育・保育など様々な分野が連携する事で、それらの取組みの効果が表れてくるものと考えております。京都府では、丹後広域振興局内に「Uターンセンター」を設置し、I・Uターン希望者や北部への就職希望者への支援を行っており、当町も町ホームページへの掲載や成人式での資料配布、また「たんご就職フェア」では登録・相談コーナーの開設など、連携協力し取組みを行っております。

次に「町内企業の求人情報の把握と求職者への情報提供の状況」でございますが、現在、峰山公共職業安定所から週1回、商工観光課へ求人情報データが来ており、それにより町内企業の求人状況の把握を行っております。また、この求人データを紙に打ち出し、各庁舎の窓口へ配架し、必要な方にご利用いただいている状況でございます。

次に「起業支援政策の立案」でありますが、現在、公共職業安定所などが行っています創業支援助成金などの制度の他に、町では産業振興施策といたしまして新たに起業や事業拡大などの一定の要件はございますが、支援施策を設けておりますので、業界の皆様方が有効に活用いただき活性化を図っていただければと思っております。

次に「空き家バンクの創設」でございますが、現在、商工観光課で、重要伝統的建造物群保存地区指定の「ちりめん街道」に限定した形での空き家登録制度の検討・協議を進めております。また、京都府の新規の農業補助事業メニューで、「明日のむら人移住促進事業費」の中に、空き家流動化対策として、移住者確保のために空き家を活用した定住住宅の整備等を支援し農村を活性化させる対策が盛り込まれており、その活用を含め、状況を踏まえながら検討していきたいと考えておりますので、ご理解とご協力をお願い致します。

次に「丹後Uターンセンターとの連携状況」でございますが、先程も少しふれましたが、I・Uターン希望者がUターンセンターに相談し、そこで登録をおこなっていただきますと、相談内容に応じて専門アドバイザーから地元の求人情報など、希望に応じた情報の提供を受けることができます。また、今までUターンセンターを活用して地元で就職された方のコメントや各市町の子育て制度、生活関連情報などが載った「U・Iターン情報誌 ユートピア」や「たんご就職フェア」などの開催情報も登録者宛てに送られるとお聞きいたしております。センターとの連携につきましては、今年の1月13日に行われました成人式におきまして、丹後UターンセンターのPR・登録に関するチラシを資料として入れておきまして、その後、センターへの登録に繋がったとお聞きしておりますし、臨時職員の募集なその情報も提供しております。

ご質問の2番目「国公立大学の新設及び誘致活動を問う」について、お答えします。2点についてお尋ねですが、合わせて答弁させていただきます。

議員ご指摘のとおり京都府は政令指定都市「京都市」があることなどから、南部に大学等の高等教育機関が集中するなど、資本や経済も含めて南北格差が大きいという現実があります。これは、歴史的な背景や道路をはじめとしたインフラ整備が遅々として進んでこなかったという事も大きな原因であり、議員もご承知のとおりだと思います。

このような環境では起業誘致も厳しいことから、大学の新設・誘致に取り組んではとのことですが、全国的に少子化が進む中で、学生数の減少が続いており、経営破綻する大学も年々増え続けてきているという状況でございます。さらに、実績のある有名大学に人気が集中するなど、明暗がはっきりしており、大学を新設して経営するには極めて高いハードルがあるという現実があります。大学の募集定員に比べ入学希望者数が激減している中、大学倒産時代と言われている状況下では、大学新設は困難と考えています。また、既存大学の誘致についてですが、一部の学部や研究機関などを誘致することは、全く不可能なことではないとは思いますが、相手があることでもございますし、難しい課題を整理していかなければならないと思います。

本町では現在、地域振興やまちづくりなどの課題解消に向けて、大学連携による取組みが推進されています。滝・金屋地区のXキャンプなどがその一例ですが、こうした一つの目的に向けたプロジェクトを地域と大学との交流、連携によって取組み、推進することが、地域の活性化を図る意味でも現実的な施策ではないかと考えています。

以上で、山添議員への答弁とさせていただきます。